2019/07/31

Tears in rain(雨の中の涙のように)

Rutger Hauerが亡くなり、
Imaxシアターでは9月から2週間限定で
『Bladerunner』のファイナル・カット版を上映するという。
DVDで何種類かのバージョンを既に鑑賞済みだが
心の整理をするためにも1度劇場に足を運んでみたいと思う。

『Bladerunner2049』の時、
映画館には結構大勢の人がいた。
高齢な人もいるらしく、長丁場の作品に
トイレに立つお客さんも目立った。
それでもどうしても観たくて来たのだろう。
最後のエンドロールまで退席するお客さんはいなかった。

最初のBladerunner公開は1982年。
時代設定は2019年のディストピアな未来都市。
2019年の設定で、Royを演じたので
同じ2019年で彼が本当に亡くなったことで
彼こそが本物のRoyであるかのようで
驚くと共に畏怖の念を感じる。

彼が亡くなった頃、
日本は梅雨だった。
まるで本当に
『雨の中の涙のように』
静かに安らかに
永久の眠りについた様だ。

Rutger Hauerは
『Ladyhawke』も素敵だった。
心に残る印象的な眼差し
孤高の戦士が
ぴったりのイメージだった。

沢山のインスピレーションを
与えてくれたことに
心から感謝したい。

以前こんなエピソードを見つけた。

アムステルダムの美術館の隣のカフェで
ウェイトレスをしている人が
カフェにいる彼を見つけたそうだ。
『あっ、あのRoy役の・・』と
思っていたその時
彼は一瞬ウィンクをして
バイク(確かハーレー)にまたがり
颯爽と去っていたそうだ。

こういうエピソードを聞くと
本当に彼は未来から来たアンドロイドか
中世からタイムトリップしてきた騎士で
自分の時間に帰っていったんじゃないかと
本気で思ってしまいたくなる。

アムステルダムに行ってみようかと
ちょっと思ったこともあった
バケツ一杯のカキを食べて
美術鑑賞をして・・・
どんな場所で彼が生きたのか
それを1度見てみたかった。

でも
素晴らしい作品と共に
心にずっと残ってくれることが
何よりも一番嬉しい。

芸術は永遠に人々の心に残る。

本当にそうだ。






2019/07/29

行け、ダッキー!

『Pretty in pink』を本当に久しぶりに観た。
最後に見たのはいつだろう?覚えていないくらい昔のことだ。
Molly Ringwaldは、クライマックスのプロムのシーンで着た
ピンクのドレスが大嫌いだったと聞いてなんとなく納得。
当時映画を観た知り合いも殆ど皆、違和感を感じていたからだ。
映画を通して彼女の、オリジナリティ溢れる装いを堪能できる
にも関わらず、肝心のピンクのドレスがピンとこなかった。
それよりも彼女にはもっと赤や黒など、はっきりした色を
持ってきた方が断然似合う。
でもそれだと映画のタイトルから外れてしまう。

ふたたび80年代中盤を舞台にしたこの映画を観て
ジョン・ヒューズ関連の映画の中でも一番いいなと
思ったら、監督が『Some kind of wonderful(恋しくて)』
のHoward Deutchでふたたび納得。
10代の胸が張り裂けそうな切ない想いを撮らせたら右に出ない人。
しかもLea Thompsonと結婚していたのですね。
それはそれは。
『Caroline in the City』、好きでしたよ。

映画の話に戻るけれど
『Pretty in pink』は結構シリアスな映画でびっくりした。
学校の中でホワイトカラーとブルーカラーの階級があって
主人公が属するのは奨学金を取ってバイトもしている
言わずもがなのブルーカラー・クラス。
ホワイトカラーの男の子と付き合うことになるのだけれど
お互いの知り合いから排除されてしまい孤独に。
さあどうする?というもの。

最後は青春映画らしく清清しいフィナーレだけれど
そこに至るまでの追い詰められた感じがどうにも気の毒で
正直ちょっと悲しくなった。
金持ち=意地悪という図式は分かりやすいから
理不尽なことばかり言ってからんでくる金持ち連中め!と、
観ているほうも主人公を応援したくなるように
設定がなっているけれど
意地悪に描くなら何故そんなに意地悪になってしまったのかを
描くともっと良かったかなと思うけど
でもきっとそういったことを描く
必要のない時代だったのかもしれない。

主人公の女の子の話と同時進行で
幼なじみのダッキーという
男の子の話も進んでいく。

もうなんかふられ専門みたいな
道端の子犬のような感じで出てくるのだけれど
映画が進むにつれ
彼の幸せを願い
私はどちらというとダッキーを応援していた。

ダッキーみたいな男の子にこそ幸せになってほしい。

それから主人公のバイト先のレコード屋さん、最高。
私がバイトする頃にはCDが主流だったけれど
レコード屋さんでバイトしてみたかった。
面白いのは、映画のサントラは主にUKロックで
固めているのに、このレコード屋さんでかける曲が
Otis Leddingの『Try a little tenderness』
であること。
The Smithsのポスターとかめっちゃ貼ってあるのに。
もう見るからにロンドン風のレコード屋さんなのに。
この時代独特の音の溢れかえっていた匂いのする
そんなレコード屋さん。

最後のプロムのシーンは印象的だった。

主人公の女の子が気分のどん底から立ち直るため
ピンクのドレスをリメイクしてプロムに立ち向かう。
手作りのドレスは自分らしさを、
プロムは外界の偏見に満ちた世界を表し、
自分らしさで立ち向かう強い女性として成長する。

最愛の妻に去られた彼女の父を見て育った彼女が
それでも諦めない姿を見せるのが清清しい。

BGMもこの時代ならでは。
New OrderからOMDに移るあたりは
つい嬉しい気分になってしまった。
OMDも出演していて二度びっくり。

ダッキーはあの後、幸せになったのかな。

Pretty in pink  Soundtracks

Left Of Centre - Vega, Suzanne
Get To Know Ya - Johnson, Jesse
Do Wot You Do - INXS
Pretty In Pink - Psychedelic Furs 
Shellshock - New Order
Round Round - Belouis Some
Wouldn't It Be Good - Hutton, June 
Bring On The Dancing Horses - Echo & The Bunnymen 
Please Please Please Let Me Get What I Want - The Smiths 
If You Leave - OMD

レコード屋さんの店主、イオナの
コスチューム七変化やビーハイブのヘアスタイル
が脳裏をよぎる。

*最近のMollyは時折ジャズボーカルをしている様子。

*『Pretty in Pink』よりも『16 candles(素敵な片思い)』の
Mollyのファッションの方が
どちらかというと、取り入れやすかったように思う。
久しぶりに見ると、麦わら帽子のかたちや全体の雰囲気が
普通ぽくあるようで、とても独特。
彼女のファッションは若いから素敵、
なのではなく、彼女自身の個性を上手に
表現しているからこそ、同世代の共感を得たのだと思う。
正直、この時代でも美形な人はもっと他にもいたと思うけれど
Mollyは『わたしたち』にとって親友であり尊敬できる優等生、
そして心の代弁者・理解者だったように思う。
・・・すっかりリングレッツ(Mollyの熱狂的なファン)な気分に。


*この映画のエンディングで流れる『If you were here』は
Thompson Twinsの1983年のアルバム
『Quick step and side kick』からの一曲。
何度も見てるから、結末は百も承知。
なのにのにこの曲のせいで結構グッときてしまう。



















































2019/07/22

RDJを一気見

ここ一ヶ月近く、ずっとロバート・ダウニー・Jr
の映画ばかり観ている。
DVDで吐くほど観続けた。
もともとの発端はやはりアベンジャーズなのだけど
余りにも多くの作品を一気観したせいか
なんだか大昔のことの様に思える。
アベンジャーズはDr.ストレンジからぽつぽつと
観ていて、でもそのころはまだ初心者というか
DCとの区別すらアヤシイ感じの『好きさ』加減
だったのだけど
(どの位アヤシカッタかというと
Sealの曲が使われている映画を探していて
スパイダーマンとバットマンを取り違えるほどの
馬鹿げたアヤシサ)

今はもう、その頃のわたしでは、ない。

沢山観た中で印象的だった映画を
敢えて3つあげると
(『アイアンマン』『シャーロックホームズ』以外で)

『Charlie(チャーリー)』
『The Judge(ジャッジ 裁かれる判事)』
『Heart and Souls(愛が微笑む時)』

この3つのうち、
『愛が微笑む時』は、長くDVD化がされず
署名運動まで起った作品という情報を聞いてから鑑賞。
とても良かった。

RDJのオリジナル曲が沢山入っているCDも
とてもいい。
これまで色々な音楽を聴いてきているけれど
彼がミュージシャンだったとしても不思議はないほど
よく出来たCDだった。
スタジオミュージシャンのバックアップが効果的
だったのかもしれないが
彼の歌詞が当時の不安定な自分からの決別を
語っているようで、それが聴く人の心を
しんみりと静かな気持ちにさせる。
ちょいと小粋なラウンジでゆったり流れているような
ジャージーな音楽が詰まっている。

そういえば以前、
『アリー・マイ・ラブ』をまだNHKで放映して
いた頃、アリーがいつになく静かに心を通わせる
相手が出来たなと思っていたら
実はそれがRDJの演じるラリー・ポール
だったということをつい最近知った。
すごく優しそうな人なのに
どうして彼女、疑心暗鬼になって
あんな別れ方をするのかといぶかしがっていた。
実はRDJの問題で降板することになり
急にシナリオを変えなければならなかったのが
原因だったなんて。
賞まで受賞しているのに。
本人も後から振り返って『過大評価だ』
と言ってるようだけど
未だにとても愛されているラリー・ポール
そこでもStingと『Every breath you take』を
歌っていた。

演じることだけではなく歌うことも
今は楽しんでいるようで

これまでも本当にいろいろなことを経験して
キャリアも積んできた
RDJはこれからどこへいくのかな。

追記:7/31
『Ally Mcbeal』シーズン4-20話を再鑑賞。
画面に映える人だから
出演するだけで輝いて見える。
器用で何でも出来る感じ。声もいいし、台詞回しも上手い。
Stingが後ろで歌っているのかと思うほど歌もとてもうまい。
以前からずっといたような存在感もある。
けれどこの頃、やっぱりなんとなく
らしくないのかな、と思う。
彼特有の情熱が余り感じられない。

それにしても色々な意味で
凄いシナリオに驚愕。

アリー、どうしてそんなに焦る!?
仕事も一流で彼氏もいたら
それで十分では!?
彼氏が私から離れる『かもしれない』
という恐れとか
老いていくことへの不安や焦りで
憂鬱になって誕生日に出かけられないとか・・・
幻影が暴れるとか・・

『若さゆえの過ちか・・・(フッ)』


当時これを普通に観ていたのかという
事実に驚愕した。